食品包装業界が抱える問題

みなさんが日頃何気なく食べているお菓子や食品、そのほとんどに袋が使われています。

安心・安全な食品の流通を支えているのが、食品包装に関わる会社です。

現状、食品包装に関わる会社はかなり厳しい状況に追い込まれています。

食品包装の抱える問題点と、改善するべき点について記したいと思います。

 

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食品包装に関わる会社と流れについて

ひとつのお菓子が出来上がるまでにはたくさんの会社が関わっています。

ここでは、まず、どのような仕事をする会社が関わっているのかをご紹介します。

食品包装関係会社

  • フィルム原料メーカー
  • フィルム製造メーカー
  • 商社、代理店
  • インキ製造メーカー
  • 袋製造会社(印刷・ラミネート・スリット・製袋)

大きく分けると上記のようになります。

それぞれの役割を簡単にまとめます。

フィルム原料メーカー

袋の素材は元は透明で非常に薄いフィルムと呼ばれるものです。

それに色をつけたり貼り合わせたりして袋になりますが、そのフィルムを製造する為の原料を作っている会社です。

フィルム製造メーカー

フィルム原料メーカーからポリプロピレンやポリエステル、ポリエチレンなどの原料を買い、用途事に添加剤などを加え、袋の元になるフィルムを製造している会社です。

商社・代理店

フィルム製造メーカーから出荷されるフィルムは、そのほとんどが商社やメーカー代理店を通して販売されます。

袋製造会社へのフィルム販売が主です。

また、お菓子や食品の中身・用途に合わせてフィルムを選別したり、新商品を紹介したりします。

中には自社で袋の製造を手がけている会社もあります。

インキ製造メーカー

フィルムに印刷する際に使用するインキやフィルムを何層も貼り合わせる時に使う接着剤などを製造する会社。

ちなみに、フィルムを貼り合わせる事をラミネートと言います。

フィルムの種類や袋の用途によって使用するインキや接着剤は変わります。

使用インキや接着剤を間違えてしまうと袋の破袋などのトラブルが発生する危険もあるのでインキ・接着剤選定も袋を製造するうえで重要な要素です。

袋製造会社

フィルムを仕入れ、印刷・ラミネート・スリット・製袋を手掛ける会社。

一つの商品が生まれるうえで欠かせない会社になります。

袋製造会社にはいろいろな形態があります。

  • コンバーター

印刷、ラミネート、スリット、製袋加工、すべてを自社で一貫生産する会社をコンバーターと呼びます。

大手コンバーターでは、自社に商社部門を持ち、フィルムの仕入れを商社や代理店を介さずに直接仕入れするところもあります。

  • 準コンバーター

コンバーターのようにすべてを一貫生産出来る設備は揃えていないが、印刷、ラミネート、スリット、製袋、どれかの設備を持ち、ある程度自社で袋を生産できる会社。

設備を持ってない工程は外注に委託します。

  • ブローカー

袋製造の設備は持たず外注にすべて委託している会社。

自社で印刷専属会社やラミネート専属会社などに直接加工をお願いする場合や、コンバーターに袋生産を委託し、製品になったものを仕入れお菓子メーカーに販売する場合もあります。

商品製造の流れ

1:お菓子メーカー・食品メーカー

↓  お菓子・食品の袋構成や価格を提示依頼(数社の競合になる場合あり)

2:袋製造会社

↓  商社・代理店、インキメーカーに袋に使用するフィルム構成やインキの選定を相談

3:商社・代理店、インキ製造メーカー

↓  構成分析や過去の事例に照らし合わせ、

お菓子・食品メーカーが希望する賞味期限や保存状態を加味し袋の構成を決定

4:袋製造会社

↓  袋の一枚単価や袋のデザインを提示(コンペ形式の場合もあり)

5:お菓子メーカー、食品メーカー

↓  デザイン、袋構成、価格を比べ、発注する会社を選定

6:袋製造会社

↓  使用フィルム発注

7:商社・代理店

↓  使用フィルム発注

8:フィルムメーカー

↓  指定納入先へフィルム出荷

9:袋製造会社

↓  印刷、ラミネート、スリット、製袋加工をし完成品を納入

10:お菓子メーカー・食品メーカー

↓  中身を詰め、販売店へ出荷

11:スーパー・コンビニ等

 

大きな流れとしてはこんな感じになります。

新製品が消費者に届くまでにはかなりの時間がかかります。

袋の選定やデザイン決定からでもおよそ1ヶ月はかかるでしょう。

 

食品包装関連業界の抱える問題点

食品包装業界はフィルムやインキなど石油関連商品を使用するので、原油価格に大きく影響を受けます。

ナフサがフィルム価格やインキ価格の指標になっており、ナフサの変動により値上げや値下げ繰り返されます。

ナフサとは

原油の蒸留によって得られるガソリンなどを含む低沸点の部分。軽質ナフサ(沸点摂氏100度)、重質ナフサ(沸点摂氏100~200度)に分けられる。また、原油の重質部分を分解して得る低沸点炭化水素の混合油は分解ナフサと呼ばれる。自動車や航空機の燃料として、また、溶剤や石油化学製品の原料として利用される。

出展:三省堂

食品包装業界での一番の問題点は、ナフサ価格の上昇下降が最終製品・袋の価格に反映されない事です。

フィルム原料メーカーはナフサ価格の上昇による採算悪化是正の為、フィルム製造メーカーに原料値上げをします。フィルム製造メーカーは原料を止められると困るのと、自社の製品に合わせた原料を使用しているため、すぐに他者から購入する事が出来ないという理由から値上げを受け入れざるをえません。

現状、国内原料メーカーは3社ほどであり、各フィルム製造メーカーに紐ついた状態であるので、フィルム製造メーカーへの値上げはほぼ通達に近い状態と聞いてます。

フィルム製造メーカーも、原料値上げを自社フィルムの価格に反映させ、商社・代理店、大手コンバーターにフィルム値上げを行います。

商社・代理店は袋製造会社の準コンバーターやブローカーに値上げの依頼をし、大手コンバーターの値上げ決着と同時に値上げが実行されます。

この先が問題なのです。

食品包装業界の流れ的には、袋製造会社はこの先お菓子メーカーや食品メーカーに袋の値上げを行うものなのですが、実際にはお菓子メーカーや食品メーカーに値上げは浸透しません。

もちろん、どの段階でも値上げをすんなり受け入れてるわけでなく、実施時期・値上げ幅など協力してもらえるところは協力してもらいながらですが最終的には毎回値上げを受け入れています。

しかしながら、袋製造メーカーからお菓子・食品メーカーへの値上げは、良くてフィルム値上げ3回に1回くらいしか認めてもらえてないのが現状です。

それはなぜか、競合他社の数が多すぎて、どこからでも買えるからです。

その会社でしか出来ない加工の製品ならば値上げもすんなりいくでしょう。

ですが、一般的なお菓子の袋や食品の袋は、使用フィルムや使用インキさえ合わせればどこが作っても同じものが出来上がります。

ある会社が値上げを依頼しに行くと、必ず出入りしている他の会社に「これ出来ないか?価格はこれくらいだけど」と見積り依頼します。

価格的には少し厳しいけど、良いチャンスだと思い見積り依頼を受けた他の会社はその商品を取りに行きます。

値上げをしようとした会社は商権を失い、他社は旧値の厳しい価格で受注をし、お菓子・食品メーカーは仕入れ業者を変えるだけで今まで通りの価格で仕入れをします。

フィルム値上げのたびにこれが繰り返され、どこも出来ない限界のところに来てようやくその商品が値上げ出来るのです。

 

私は、決してお菓子メーカーや食品メーカーのやり方が悪いと言いたいのではありません。

自社の利益、消費者への値上げを防ぐ意味では当然の動きだと理解しています。

 

私が問題視しているのは、食品包装業界の値上げのやり方なんです。

それぞれが自社の値上げ受け入れを次の段階へ流していくだけ、

風上の原料メーカーから風下のお菓子・食品メーカーまで一貫しての値上げ体制になっていないのが問題です。

最終的には袋製造会社で値上げが止まり、その他は値上げ実施や値上げ無し。

袋を製造する会社だけがジリ貧の状態に追い込まれていく。

値上げをしない袋製造会社がダメなんじゃないか。

その通りだと思います。

しかしながら、工場を動かすため、会社を存続させるため苦渋の末に値上げを自社で飲み込むしかないという現状も私は理解できます。

この先数年間は劇的な変化がない限り原油価格の高止まりが続き、よりいっそう厳しい状況になるでしょう。

袋製造会社が最終ユーザーのお菓子メーカー・食品メーカーに、製品の適正な値上げを実施できる環境作りを、食品包装に関わる会社すべてで考えていかないといけない時期に来ました。

 

食品包装業界の値上げへの取り組みについての提案

  • 四半期ごとのナフサリンクにする

最終的にはこれしかないと思います。

原料メーカーの値上げは一月ごとのナフサの価格をもとに、次はこれくらいになるのでこれだけ上げさせて下さいというような感じです。

一月ごとに見ていきますが毎月原料価格が上がるわけではありません。

最低3ヶ月、四半期の結果を踏まえた上での値上げ交渉になります。

これを末端の袋の価格にまでリンクさせてしまえば良いと思います。

前の四半期の結果、次の四半期のフィルム・インキ価格はこの価格になります。

その結果、袋の価格も次の四半期分は前四半期と比べて○%アップになります。

3カ月ごとに仕入れ価格が変わるのは大変なことだと思います。

しかしながら、事業者用のガスなどでは既にこのような方式を取っていますのである程度受け入れやすいのではないかと思います。

このようなルールを業会全体で決めてしまえば、お菓子メーカー・食品メーカーも値上げを受け入れざるを得ないのではないでしょうか。

 

賛否両論あると思います。

すぐに実行できるような提案内容ではないとも思います。

ですが、徐々にで良いので前に進めなければ、現状を改善していかなければ、食品包装業界とくに袋製造会社の未来は暗いままだと考えます。

この記事を書いている今現在も、新たなフィルム値上げ交渉の真っ最中です。

フィルムメーカー発表のまま決着となると、フィルム価格は約5%上がります。

昨年から今年にかけてすでに15%ほどフィルム価格は値上がっています。

今までの値上げ分を袋の価格に転嫁できてない状態でこの5%の値上げを受け入れたとしたら…

 

食品包装に関わる全ての会社で、上から下まで一貫した値上げの方式を早急に決める事を望みます。

 

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